ALCとは発泡コンクリートの略称です。特長としては、スポンジのように多数の気泡を含んでおり、そのため従来のコンクリートと比べ軽く、内部に鉄筋を仕込んでおり強度の部分でも大変優秀です。その上気泡を含むため、断熱性もあり、デザイン性にも優れています。しかしながらそれ自体は製品としての段階では塗装されておらず、その構造上水分を吸収しやすい性質を持っているため、組み上げ後、継ぎ目や隙間を固まるとゴム状になるシールで塞ぎ、塗装する事でコーティングし、保護しています。つまりALCパネルにとって塗装は重大な役割を担っていることになります。
このパネルの場合、ポイントは3点になります。
- チョーキング現象
- コケやカビの発生
- シールの施工不良
1.チョーキング現象は全ての塗装を施してある壁に見られる現象です。
この現象は塗料が風雨や紫外線、熱等により劣化し表面から粉状になってしまう状態です。
言い換えれば塗膜が徐々に削れて薄くなってしまっています。
この症状が進行すると撥水効果を中心としたコーティング性能が低下し、壁自体を侵食する恐れがあります。
2.コケやカビの発生が見られる場所は普段から湿気の溜まりやすさも原因の一つかもしれませんが、
チョーキング現象により撥水効果がなくなり水分の溜まりやすい環境が出来上がってしまっている場合があります。
この状態では劣化の速度を早めてしまう可能性があります。
3.シールは、季節や湿度にもよりますが体積が大きい程、硬化するのに時間がかかります。
ALCパネルの場合、シールを打ち込む隙間の深さと幅が共に広く、このシール自体の硬化時間が長く掛かってしまいます。
施工不良とは、完全硬化を待たずに次工程の塗装を施してしまった場合、結果としてシール、塗料共に硬化はしますが、硬化のさいの収縮率の差でひび割れてしまいます。
この部分は必然的に弱くなっているので、後々劣化が早くなるのも必然となります。
正常であれば塗料でコーティングし、保護してあるので劣化を防ぐ事ができますが、劣化が進むとシールが切れてしまい、そこが雨漏りの原因にもなり深刻な症状を引き起こす可能性があります。
上記で記した3項目も重要なのですが、右側の画像の様な小さな石や砂を吹き付けてある壁に関しては、少し注意が必要かもしれません。
下地処理はしっかりとされているはずですが、塗料とはいえ素材が石や砂なので繋ぎ止める結合剤の配分量が多く、新しいうちはいいのですが、結合剤の劣化が進むと隙間ができ水を吸収するようになります。
本来ならばこの塗料の上にクリヤー塗料を塗布するなどすれば問題は解決するのですが、大半の施工でなされていないのが現状です。
その上ALCパネルではこの塗料を使う場合、工程数が増えるため、手を抜く施工業者がいるのも悲しい現実です。
これらの事を総合的に判断し、他の塗料を使用している壁と比べれば、少し早めの塗り替えをお勧めしています。
ALCパネルはそれ自身大変優秀な建材ではあるのですが、どんなに優秀でもメンテナンスを施さなければ、劣化の進行を防ぐことはできません。
特にALCへの水の浸透は危惧すべき現象になります。
これらのことを踏まえ、早めのメンテナンスを推奨しております。